国民年金保険料の掛け捨て防止として誕生した死亡一時金
自営業の人は毎月約16,000円の保険料を納付しなければなりません。毎月納付していても、亡くなってしまい遺族年金の受給権がなかったら、支払っていた保険料は戻ってこないということになってしまいます。
そんな掛け捨て防止対策として設けられた制度が死亡一時金です。本人が死亡しても、その死亡に対して遺族基礎年金の受給権がなく、死亡した人が国民年金の老齢や障害の年金いずれも支給を受けていなければもらえます。
保険料を36月以上納付でもらえる!
しかもこの死亡一時金、保険料の納付が36月以上あれば受給権が発生します。
老齢や遺族の年金では、現状では25年の納付期間が必要ですが、それに比べると非常にハードルは低いですね。
もらえる額は?
保険料を納付していた月数の合計によって、下記のように支給額が決まります。
保険料納付済期間の月数 | 支給額 |
---|---|
36月以上180月未満 | 120,000円 |
180月以上240月未満 | 145,000円 |
240月以上300月未満 | 170,000円 |
300月以上360月未満 | 220,000円 |
360月以上420月未満 | 270,000円 |
420月以上 | 320,000円 |
支払った保険料を回収するというのは到底無理な金額ですが、保険料を支払ったまま何も戻ってこないという事態だけは避けることができます。
支給されない場合もある?
この死亡一時金も、支給されない場合があります。
1.国民年金の老齢または障害の年金を受けたことがある場合
上記でも記述しましたが、国民年金の老齢または障害の年金を少しでも受給していた場合はもらえません。
本人が65歳以上になって老齢年金をもらっている場合や、年齢は若くても障害があり、障害年金をもらっていた場合はもらえません。
2.国民年金の遺族年金がもらえる場合
国民年金の遺族年金がもらえる場合、死亡一時金は支給されません。金額面でも年金としてもらえる遺族基礎年金の方が有利です。
寡婦年金との兼ね合い
寡婦年金は女性だけが受給権が発生する可能性があるのですが、もし寡婦年金が支給される場合、死亡一時金とはどちらか選択することになります。
基本的に寡婦年金の方がトータルの支給額多くなりますが、妻が65歳になる数カ月前に夫が亡くなった場合などは、死亡一時金の方が多くなる可能性もあるため、試算する必要があるので、正確な額は年金事務所に相談しましょう。
最後に、民間の保険商品などと異なり公的年金は自分で「請求」しなければなりません。市区町村の役所や、年金事務所などで請求の方法は教えてもらうことができます。
日本年金機構のサイトでも必要書類はまとまっています。
若い世代の方も、自分の親や親族にもしものことがあった時のために、こういった制度も知っておきたいですね。